傷病者の目線で救急搬送のあり方を考え、情報科学・情報工学的アプローチでその実現を目指します。
救急車による搬送では、傷病者の容態を悪化させることなく安全に、かつ迅速に病院まで搬送することが求められます。このような安全性と迅速性のより一層の向上を目指して、救急車の走行解析や傷病者の生体反応を実験で再現しながら、問題点の洗い出しと改善策を探っています。その改善策の具体化に向けて、モデリング、コンピュータシミュレーション、自動制御、数値最適化といった従来技術に加えて、最新のIoTやAI技術を併用して、安全安心な救急搬送を実現するスマートシステムを研究開発しています。
傷病者の負担を軽減するアクティブ防振ベッド
急ブレーキ時の脳圧上昇や路面凹凸による車体振動は、傷病者の容態を悪化させる危険要因です。これらを効果的に抑止するアクティブ制御方式の防振ベッドを開発しています。
傷病者の病態に応じた最適搬送ルート
搬送中に被る負担(血圧変動や背面圧迫)を数理モデルで推定しながら,傷病者の病態に応じて最適な搬送経路を割り出す救急搬送ナビシステムを開発しています。
救急車運転訓練支援システム
傷病者に負担をかけない運転技術の習得を支援するシステムを開発し、スマホアプリとして実現しました。走行記録用のデータロガーとしても活用できます。
救急車の振動低減のための路面修繕
傷病者に悪影響な車体振動を減らす根本的な解決策は、路面の平坦性を向上することです。救急車の走行データから、路面の修繕候補箇所の抽出と修繕優先順位を決定しています。